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『旅立ちの日に』を作詞した祖父の偉大さについて

「旅立ちの日に」という歌は長きにわたって卒業ソングとして歌われてきた偉大な歌だと思います。かく言う自分も中学高校の卒業式に歌った一曲でした。

そしてこの曲を作詞したのは、僕の父方の祖父でもあったりします。

 

元々、英語教師から校長先生というTHE公務員のエリート路線を歩んできていて。別に歌なんか作詞しなくても、むしろしない方がのんびり優雅な生活ができただろうと思ったりします。新しいことを求めない公務員たちに賛同する人はいなかったんじゃないかと。

 

そんな周りの目も気にせずに生徒のためを思い、人を巻き込んで歌を作るあたりは誇りに思います。

そして、校内では唯一と言っていい賛同者だった音楽の先生は本当に素晴らしい方だと感じます。葬式以外で話したことないけど、音楽の坂本先生の素敵具合は滲み出ていたのを思い出すな。。

 

祖父は、いち教師として、いち作詞者として、どういった心境でこの歌に想いを込めたのか。

カウンターの席で杯を交わしながら話を聞くことができなかったのは残念だけれども、当時荒れていた学校の生徒を思って「みんなでひとつになったね」と言えるような思い出を作ってあげたかったんだと聞いています。

そして、この曲が見事に学生にとっての当たり前を創っていった。

 

もう祖父は亡くなってしまっていますが、毎年一度祖父の家に行き顔を見ていたときは「あまりにも平凡なおじいちゃん」という感じだったんですよね。

そんな人が亡くなった今でも、当然のごとく歌われている卒業式の定番ソングを作ったのだから意外と面白い。でもその平凡というのは、どんなに賞を取ったりTVに出たとしても傲慢にならず常に身近な人でいてくれた裏返しだと思っています。

たぶん年を重ねるごとに丸くなっていったタイプだと思いますが…

 

そもそも公務員体質で無いことは、自分や自分の父への遺伝の仕方を見る限り言うまでもないですが、新しいことを望んでいない環境でコミットしたのは偉大だなと感じます。

 

そして、荒れていた学校も「全員で一つの歌を歌う」という体験を通して学校らしさを取り戻したのは、見事なピボットだったなと思います。



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